はじめに物流業界で事業を展開する株式会社合通カシロジ様では、2024年8月から生成AI活用への取り組みを開始。株式会社Hitamukiの研修プログラムからスタートし、その後伴走型支援へと移行することで、着実な成果を積み重ねています。今回は、プロジェクトを管轄する佐藤専務と現場運用を担当する丸山様に、Hitamukiの伴走型支援導入の経緯から具体的な成果、今後の展望まで詳しくお話を伺いました。支援のきっかけ:研修から始まった生成AI活用への第一歩――生成AI活用を検討されたきっかけを教えてください。佐藤様: きっかけは1年半前くらいですね。澤田さんが登壇されたイベントがあって、その中で澤田さんの話が一番聞きやすかったのと、内容的にもうちにマッチするかなと思って連絡を取ったのが経緯です。そこで何を求めたかというと、まずは社員、特に事務員に生成AIというものに慣れてほしかったんです。なので、一番初めは全体で研修をやってほしいという話からスタートしました。「生成AIって怖くないですよ」というのを事務員のみんなに理解してほしかったんです。――最初に研修を選ばれた理由は何だったのでしょうか?佐藤様: 今すぐ効果を求めていたわけではなかったので、時間をかけてもいいかなというのが正直なところでした。まずは、生成AIを理解しないと、システムとか生産性とかそういうものに対して何も変化が起きないだろうと考えていました。最終的には、全社員がスキルをつけるのではなく、AIが裏で勝手に動いてる仕組みを作ることが一番理想的だと思っているので、そういう意味でもまずは初期段階の生成AIへの理解が必要でした。――研修を受ける前の不安や期待はありましたか?佐藤様: 不安はひとつだけでしたね。「研修をしたはいいけど、結局使われないんじゃないか」というところです。社員からすると、会社が勝手に研修を企画して「はい、やりますよ」と言われても、なかなか自分ごとにはならないと思います。だからこそ、社員がちゃんと興味を持って参加してくれるかどうか、そこだけが気がかりでした。研修から伴走型支援へ:段階的なステップアップ――研修を受けられて、どのような変化がありましたか?丸山様: 研修を通じて、生成AIが怖くないということ、そして実際にどう使えば業務に活かせるかの基礎が理解できました。ただ、やはり通常の自分たちの業務をしながらやっているところがあるので、研修と研修の間の1ヶ月の間に何もできなかったということも多分あったと思います。佐藤様: 研修を通じてそれなりの業務効率が図れているということは分かってきたので、もうちょっと勉強させてもいいのかなというところがありました。ただ、途中から成果が出そうな方向性に少しずつ変わってきたので、「じゃあどれぐらいで削減できるんですか?」という話も気になってきたんです。当初は業務削減が目的ではなかったんですけど、継続していく以上は、ちょっとずつでもいいので何か具体的な効果を見たいよねというわがままが入ってきた感じですかね。伴走型支援の価値:物流業務に寄り添った実践的サポート――実際に伴走型支援が始まって、どのような価値を感じられましたか?丸山様: 伴走型支援の価値は、課題に応じて、継続的に新しいことを教えてもらえることですね。一つ覚えたら次、また一つ覚えたら次へ。ChatGPTから始まって、いろんな生成AIがある中で、こういうやり方する時はこっちの方がいいよとか、やっぱりそういうのは自分たちではなかなか調べないし、使い方も分かりにくいところがあります。レベルに応じていろいろ教えていただいて、使い方なども教えてくれるのですごくスキルアップにつながっていると思います。――研修と伴走型支援の違いで感じる部分はありますか?丸山様: 研修は基礎を学ぶ場でしたが、伴走型支援では実際の業務に即した形で、「こういう時はこうしたらいい」「こういう仕組みの方がよりいい」といった具体的なアドバイスをもらえます。特に、自分たちでは思いつかないような活用方法や、ChatGPTだけじゃない様々なツールの紹介をしてくれるので、生成AI活用の範囲が広がってきているなと実感しています。具体的な成果:物流業務での実践と効果――印象に残っている支援内容や成果はありますか?丸山様: 傭車*のところの入力業務が大きかったですね。今まではいろいろたくさんのシートに同じようなことを入力していたものが、もう全て自動でできるようになっています。これはかなりの時間削減になっています。あとはメール文章の作成です。メールの文章がなかなかうまく書けないメンバーも、GPTに聞けば綺麗な文章で作ってくれるので、そういうところもかなり活用しています。データ作成なども、特に管理の方でやってもらったりしています。*傭車 : 運送業で自社の車両ではなく、他社のトラックやドライバーに業務を委託して輸送を行うこと。――具体的な業務改善の事例を教えてください。丸山様: 日報や発注書の処理が自動化されました。今まで紙でやっていたものが大幅に効率化されています。また、引き当て作業の判別なども、かなりインパクトがありました。佐藤様: 今までは報告書の業務にしても、フォーマットも書く人によってバラバラだったのが、ある程度綺麗なスタイルで書けるようになっているので、そういう部分では効果はあるのかなと感じています。――選抜メンバー以外の方々の反応はいかがでしたか?丸山様: 選抜メンバー以外は、最初は何ができるかがさっぱりわからなかったんです。でも、伴走型支援のお打ち合わせに参加し、奥田さんとメンバーにヒアリングしてもらって「困ってることないですか? 時間かかってることないですか?」と聞かれる中で、「こんなことできるんだ」という気づきがすごく出てきました。それ以降、自分の業務だけでなく、チームメンバーの業務も「こんなことできないかな」とすごく意識して考えるようになってきています。社内の変化:段階的な浸透と業務プロセスの変革――社内のAIに対する反応や変化はいかがですか?佐藤様:澤田さんとやり取りしてなかったら、多分まだ一握りの人間しか生成AIを使ってなかったと思います。でも今は、多くのメンバーが生成AIを使用するようになってきています。AIというものを恐れなくなり、積極的に使ってくれているのかなと思っています。丸山様: 業務プロセス自体も変わってきていると思います。今までとは違うやり方で業務を進められるようになってきていますし、チームメンバーも少しずつ興味を持って質問してくるようになってきました。――まだ課題と感じている部分はありますか?佐藤様: 経営層に生成AIの効果がまだ十分に伝わっていないんです。何時間削減しましたという数字はもらっているので分かっているんですけど、どんな形でどうやっているかという細かい説明はもらったことがないんです。削減したという結果しか知らないので、いろいろ使ってやっていますよというアピールが会社にできていない。そういう機会を持たせた方がいいのかなと思っています。日常的なAI活用:経営層の実践例――佐藤専務は日常でどのようにAIを活用されていますか?佐藤様: ChatGPTとは仲良く暮らしています(笑)。履歴を見てみると、やっぱり情報収集が多いですね。例えば、カカオ豆の価格推移表を出してもらったり、見積もりをもらった時にそれが妥当かどうかを世の中の相場と比較したり。あとは減価償却の計算もよく使います。「この商品を減価償却するなら何年ですか?」みたいな感じで聞くと答えてくれる。今まで電卓を使用していたのが生成AIで解決するようになりました。丸山様: 私は議事録にNotebookLMを使っています。音声録音して投げたら、もう要約して議事録にしてくれるので、本当に10分ぐらいでできるようになりました。議事録作りがすごく楽になりましたね。今後の展望:物流×生成AIの可能性を拓く――今後の生成AI活用についてお聞かせください。佐藤様: 基本的な単純なことは全部AIにやってほしいですね。例えば予算を作るのもAIでやってほしいし、プレゼン資料を作るのもAIでやってほしい。人が今までかけてやったことを、もっとAIで精度高くできるんじゃないかと思っています。また、社員から見えない状態でAIを動かしたい。「これどうやってるんですか?」「へえすごい」となって、「どうやってやるんですか?」と聞かれたら、「Hitamukiさんに聞いて」と紹介できるような状態が理想ですね。丸山様: ルーティン作業はもう全てAIで動けるようになったらいいなと思っています。受注業務なども、もうボタン押したら全部最後まで完結してくれるような自動化。あとは配車業務のAI化とか自動化とか、通常業務やっているのはもうAIでできるようになればいいなというのは思っていますね。――組織全体での推進についてはいかがでしょうか?佐藤様: 今いる3人のメンバーには、会社にもっとアピールしていってほしいですね。継続してることが見えなくなったら終わりだと思っているので、やっている内容をどんどん広げてほしいです。マンネリ化せずに月に1回集まってやってるなぐらいの感覚で終わらせたくないというのが個人的な思いです。同じ課題を抱える企業へのメッセージ――生成AI活用を検討している企業様、特に物流業界の企業様にメッセージをお願いします。佐藤様: 人口減少や、働き方の価値観が変化する中で、企業はこれまで以上に人材確保が難しくなっています。何かを改善していかないといけない。その改善が結局、生成AIとかそういうところの自動化になってくる中で、一つの手段として今の段階でやっとかないと遅れが来るんじゃないかと思います。本当に世の中の働き方が変わっていると感じています。これからの10年、5年はもっと早く変わる。出来上がるのを待ってないで、今自分たちから動かないと置いていかれると感じています。丸山様: 何か新しいことをするとなると、どんなことに対してもやはり社員の方からは抵抗感が一定数出てくると思います。でもやっぱり何かやっていかないと変化は起きないし、会社も成長していかないと思うので、生成AIにかかわらず、今までで良いのではなく新たなことに取り組んでいくことが必要です。今の時代で言うと、生成AIというところも大きな部分になってくると思うので、会社として推進していくべきだと思います。研修と伴走型支援への評価――弊社の研修プログラムと伴走型支援サービスの評価をお聞かせください。丸山様: ChatGPTから始まって、いろんな生成AIがある中で、それを包括的に対応してくださるのがありがたいです。自分たちではなかなか調べないし、使い方も分かりにくいという中で、レベルに応じていろいろ教えていただけるので、本当にスキルアップにつながっています。――弊社サービスを、他社さんに推薦していただけますでしょうか。佐藤様: 正直、大手以外の物流会社でどこまで積極的にやってる会社は少ないと思うので、そういう意味では我々がモデルケースになって、こういうことできるよという話は広げていきたいなと思っています。人がいないのはどこも一緒なので、それに対して私たちだけAI使ってワイワイという考えは全然なくて、どんどん業界全体に広めていきたい。興味あるけどどこに声かけていいか分からないのが皆さんの現状なので、そういう意味ではいろんなところに紹介していきたいなと思っています。丸山様: これから生成AI活用を始めようという段階や、活用を進めているけれど拡大方法を模索している段階の会社さんには、Hitamukiさんがぴったりだと思います。研修で基礎を学んで、伴走型支援で実践していくというステップは、特に中小企業にとって取り組みやすいアプローチだと感じています。まとめ株式会社合通カシロジ様の事例は、「研修で学び、伴走型支援で実践する」という段階的なアプローチの有効性を示す好例です。物流業界という人手不足が深刻な業界において、生成AIを活用した業務効率化と、その先にある自動化の可能性を着実に広げています。「人を教育するよりAIを教育する方が早い」という佐藤専務の言葉は、これからの時代における企業の在り方を示唆しています。生成AI活用を検討されている企業様、特に「まず基礎を学びたい」「段階的に進めたい」と考える企業様にとって、研修から伴走型支援へとステップアップするアプローチの参考となる事例といえるでしょう。株式会社Hitamukiは「人を想い、人を支える」というミッションのもと、企業の真のパートナーとして研修プログラムと伴走型支援を提供しています。生成AI活用でお悩みの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。